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L.A.モース - オールド・ディック - 1983

タイトル:オールド・ディック
原題:The Old Dick
作者:L・A・モース(L.A.Morse)
訳:石田善彦
出版:早川書房(1983年)

一言評価:「78歳の探偵が主人公という奇想天外な発想、プロットが秀逸。」
総合お勧め度:★★★☆☆
オヤジ以上のオジイチャン達元気過ぎ度:★★★★★
爽やかイケメンと女性が登場する度:☆☆☆☆☆

背表紙よりあらすじ。

>>ちょっと走れば息切れして死神の顔が見えてくるし、十五年も仕事にはごぶさた――こんな老いぼれ探偵ジェイクになぜか仕事が舞い込んだ。元ギャングのサルが、誘拐された孫の身代金受渡しに同行してくれというのだ。…中略…史上最年長の私立探偵ジェイク・スパナー登場!1982年アメリカ探偵作家クラブ最優秀ペーパーバック賞受賞のハードボイルド話題作!<<

主人公ジェイク・スパナー78歳の探偵という設定がまずはいい。とりあえずこの時点で目を引くけれど、もしも詰まらなかったらショック。心配は要らなかった。大傑作という程でもないが、作者初の長編フィクションとは思えない程よく出来ている。

ジェイクは探偵の仕事から離れて随分経つ。決して身体が満足に動くわけではないが憎まれ口を叩く力は衰えていない。普段は公園で下らない本ばかり読んでひがな過ごしている。近所のオバサマといけないリーフが日常の数少ないスパイス。日常のあらゆるところから自分の死因の可能性を見つけ出して新聞の見出し風に思い浮かべる。一見何とも寂しい老後だ。

若い頃、中々やり手の探偵であったジェイクは、ギャングのサル・ピッコロを刑務所に送りこむ決定打を決めたという過去があるのだが、出所した彼は今度はなんと依頼人として姿を現した。元、ギャングである。これまた年寄りだ。彼の孫がさらわれ身代金を要求されているといい、サルはその身代金を払う同行を頼んだ。ジェイクは自分の年齢と長いブランクの事も考えつつ、そしてそれこそまさに悪として切れ者だった記憶とは違い、孫への思いを語るサルの姿に戸惑いつつも、その依頼を受ける。しかし向かった先で二人は何者かに襲われて身代金を奪われてしまう。ジェイクは奪われた金を取り戻そうと現役へと戻っていく…。

ジェイク元探偵、年寄り。サル、元ギャング年寄り。その他元警官のオブライエンは老人ホーム暮らし。元映画女優の情報屋。ゲイバーの連中。誰もかれもが年寄りで、深みを感じさせ、そして憎まれ口と軽口で飄々としている。この軽妙さは本当によく出来ている。ユーモア溢れる会話、台詞が飛び交う。銃撃戦も、カーチェイスも、捕らわれて拷問もあるが主人公がもうオジイチャンなだけに読み手の感情移入の種類が違う。耐える男のイメージとしてのハードボイルドから時が経ち過ぎてしまったからこそ生まれたハードボイルド探偵小説だと思う。年齢がその行動を阻むところはユーモアたっぷりに書かれてはいるが、自分の将来を思うと少々切ないし、これだけたくさん老人達が出てくれば普通に読んでも切ないシーンはある。恐らくは自分が歳を取った時に読んだらまた違う印象がありそうだし、完成度の高いエンターテインメント小説だ。 エンディングについても賛否両論ありそうな捻りがある。僕には心情的に理解は出来ないが気に入ってはいる。

ただ石田善彦氏の翻訳が好みでないのか(時々思う事だが)、それとも元々こういう文章なのかはわからないが、文章のテンポは好きではなかった。くどいのはそういう伝統のような気もするが。初めは特にジェイクのキャラクターが強烈なもので。多くの人にお勧めするというか、ハードボイルドの枠から少し外れたものを読みたい人向けなのかもしれない。余り体系に詳しくは無いので何とも言えないが。こってり系の読み物だ。
それから、オールド・ディック。「古びたナニ」ってところか。ジェイクの方は全く古びていなかったようだ。両方の意味で。中盤でその力を発揮するもうこの手の話にはよくあるシーンがあるのだが、その下りについてはまぁ羨ましいなぁというか凄いなぁと。でも冒頭のジェイクの様子ではあんな事になるとは思わなかった。人生何が起こるか分からない。
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[ 2011/03/20 00:44 ] Books | TB(0) | CM(0)

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