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よしながふみ - 愛すべき娘たち - 2003

タイトル:「愛すべき娘たち」
作者:よしながふみ
掲載紙:メロディ(白泉社)
雑誌連載:2002年~2003年
単行本:2003年

一言評価:「愛って何て奥深いんだろう。性を丁寧に扱う作者ならではの染みいるメッセージ!」
総合お勧め度:★★★★★
映画的:★★★★★
男性へのお勧め度:★★★☆☆
全ての女性へのお勧め度:★★★★★


とりあえず昨今の漫画界、「よしながふみ」とくればもう説明不要ですね!……とか言っておいて実はまだこの記事書いているところでは「大奥」を読んでおりません……。うーむ……。漫画読者の風上にも!ただ「西洋骨董洋菓子店」「きのう何食べた?」「執事の分際」等々は何とか。重いので、以下追記スタイルで書きます。



さて、とにかく巧いですよね、読ませるのが。これは恐らく研究練習すれば誰もが一人一人スタイルとして完成する技術的なところなのかもしれませんが、コマの使い方や、背景、空白の配置など、こちらは映画を読むように彼女の作品の中に入り込んでいきます。そして心情に沿った絶妙な台詞、大きくディープな作風といった個性がその絵描きというより漫画描きとしての技術に裏打ちされているような気がするのですが、いかがなものでしょう。
今作は一巻完結、五話の連作です。愛の有り方、女である事、更には母親である事、に重点が置かれているように思えますので、若輩のしかも男の僕にどこまで理解出来るか分からないですが、とにかくこれは間違いなく傑作ですので、多くの人に読んで頂きたい作品です。レビューを書こうと思って何度か書きなおしましたが、内容についてはもう僕の許容量を超えてしまいました…。

物語はとある母子家庭、その母親が再婚する為に男を娘に紹介するところからはじまります…が、個人的にはその前の3Pに注目したいです。ここが実に絶妙なんですよ。その3P分で母と娘の関わり方が見えてくるようです。仕事から戻ってきた母と部活で遅くなった娘。お互い疲れているところ、母が娘の背中をガツンと蹴ります。痛みや怒りよりも、その母の勢いに茫然とする娘。その一瞬呆けた感じを、この白い空白が表しているんですが、それだけでなく話の方向指示器としても機能しているんですよね。嫌味のある空白ではないんですよ。読者の理解出来るもので。娘はある程度聞き分けの良い子だなぁとかもこの時点で思いました。ちょっと先走り過ぎかな。ところどころフッと笑うところもあるんですが、それってちょっと胸の奥が痛く、でもそれを受け入れられる痛みでもあったりします。巧い!

まぁそれはさておき。第三話の「全ての人に分け隔てなく接する女」の話に感銘を受けました…が僕には難しい。結局のところ、人は誰かを傷つけたり、区別せずには生きてはいけない、っていうもう幾度となく繰り返されてきた話を下敷きにしているのですが、例えそうであってもその姿のまま生きていく爽子はとても美しく、それだけのリアリティをもって描かれています。そしてその力が最も発揮されるのって、子供が急に戻した食べ物を手で何の躊躇もなく受け止めるところであったり、老人の介護をする時だったり、仕事の中で客と対する時で、それ以外の時には彼女は一歩引かないと成り立たたず。吉野朔実の「私が母親をやっている限り駄目なんだわ」ではありませんが、彼女は逆に娘にはなれないんですね。しかも彼女は自分を否定する事が出来なかった。裏表紙にある全方向の愛を貫くが故、一度は心から分かりあえたはずの相手を拒否してしまった。しかし彼女は美しい。
物語の最後娘はこういう思いを抱きます。「母というものは 要するに 一人の不完全な 女の事なんだ」。最終話では映画のエンディングのように色々な事柄が回収されますが、最後のコマが静かに笑う母親の姿。全く胸の奥にくるものがありますね。良い悪いの無いこの視点の自然さが多くの人に訴えているのでしょう。しかし僕は三話の爽子の事を思わずにはいられない。そして男としてはあの義父、大橋さんに目を向けずにはいられない。描かれている量は少ないけれども、恐らくは女性読者が登場人物の女性キャラクターに向けるような目線を僕が彼に向けられる事についてやはり作者は凄いなぁと思った。
なんか滅茶苦茶ですねぇ……。
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[ 2011/03/10 14:54 ] Comics | TB(0) | CM(0)

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