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岩舘真理子 - アリスにお願い (YOUNG YOU特別企画文庫) (1996)

作者:岩舘真理子
掲載紙:YOUNG YOU
(YOUNG YOU特別企画文庫)
岩舘真理子文庫版自選集「アリスにお願い」
収録作品
「アリスにお願い」
(1991年)
「白いサテンのリボン」(1993年)
「眠るテレフォン」(1988年)

一言評価:「少女の時間、時代の終りを描く壊れそうな程繊細な物語」
総合お勧め度:★★★★★
純文学的繊細度:★★★★★
男性へのお勧め度:★★★☆☆



作者は、大島弓子さんクラスの影響力のあった漫画家らしいですが、
僕はこの作品が初めてです。

白眉は何と言ってもコアなファンからも人気が高い(らしい)、
表題作「アリスにお願い」でしょう。
「白いサテンのリボン」も合わせて傑作です。
少女の純粋な残酷さ、痛みを抱えたまま生きていく事の辛さ、
これだけ容赦なく表現されているとは全く恐れ入りました。
二度三度と読みなおしまして、これからもまた読みたいなと思いました。 



表題作では、美しくワガママで孤高、少女達の女王様的存在のアリスと、 幼い頃両親を亡くした美奈子の二人の精神的な繋がりを描いています。 昔、二人の同級生で、美名子の従姉であった江利子は川縁の小屋で事故死した。 その事件に関わった事を二人は長らく封印していたが、ふとした事から向き合わざるを得なくなる。 江利子は何故死んだのか、というとミステリーっぽいんですけれど(実際そうだけど)、 謎解きそのものよりも秘密の鍵がつなげる二人の関係の変化が見どころです。読み終わった後に、タイトルの意味を考えてしばらくぼーっとしてしまいます。



「白いサテンのリボン」は、短編なので内容を書いてしまいますが(申し訳ありません…)、この文が全てを語っていますね。
>>
それでも まだあの頃、わたしにはリボンが似合うと思っていた
体の中に 白いリボンの羽をつけた 少女の天使が一人住んでいて
わたしの残酷さをゆるしてくれる
なのに いつの間にか 天使はどこかへ 飛んで行って
わたしは ただの人間になってしまった
わたしは わたしのなりたかった少女になることはなかった
あの天使は 今 どこにいるのだろうと
時々かんがえてみるけれど
>>

少女は、母親に気に入られるために嘘を重ねる中で、 周りの大人の醜さを吸い取っている事に気付かず、夢見る事から現実に手を伸ばす。 望みのものを手に入れて、これで満たされたと思った時に、ふと鏡を見る。 自分の顔が、あの大人のようになっている、皺が出来ている。 あれだけ欲しかったあのドレスは、 自分に流れる毒を自覚して大人になってしまった自分には、 似合わなくなってしまった事に気づくのだった。
往年の少女漫画への別れみたいな印象を受けまして、 少女漫画の枠から飛び出す事なく、それを広げて、 こういう描き方があるんだと言われているような感じ。 まぁ90年代の漫画ですので、別れも何も無いのですが、 ドレスやリボン等のアイテムを使ってこれだけの虚無感、とんでもないですね。

全体的に、絵そのものやコマの使い方、胸を抉るモノローグは実にすばらしい。 メインキャラクターのアリスっていう子なんかは、「the 美少女」、って感じ。 取っつきにくくて、嫉妬と憧憬を一身に受けている想像上の生物。それっぽい女の子ならいるかもしれないですが、この表現力は違いますね。 この絵が描けるなら、それだけで成立してしまうな。 三篇読んだ限りでは、この人は、男性よりも女性、少女を描く漫画家なのかなと思いました。 ネットで少し情報を拾ってみますと、この方はプロットを事細やかに詰めていくタイプではなく、ある種筆の流れに乗って物語を作っていくタイプらしいのですね。そういうタイプによくあるのが、前半と後半の意図しない温度差ですが、確かに三話のこの中篇にもそんなところが見えますが、この作品では然程悪影響を与えず、むしろエンディングの怒涛の展開に落差を与えているように思えます。



以下重要なネタバレを書かせて頂きます。







まず一つは一番好きなカットは、 「あたしは美名子のこと好きだったわ」のページ。後ろ姿、そして振り返るアリスに本気でゾクゾクしました。

それから、とても重要な事。

最後、アリスは、「死んだ」と書かれていて、 ネットで見ると多くの読者が実際に「死んだ」と解釈しているようですが、 (その上で、自殺か他殺かで意見が分かれている) 僕は初めて読んだ時は違うと思いました。 多分、その死は、少女時代の象徴的な終焉という事ではないかと思う。 アリスはもう完全に変わってしまったのではないか。 魂が抜けたように、というか、”普通の人”になってしまったのではないかって。「バレー部の練習観てってもいい?」なんてねぇ。
根元では”バツ”の重さに耐えながら、周りの人をだましながら大人になった美名子と同じように、 アリスも生きながら、そして美名子に目を向けながら、静かに生きていったのではないかと思いました。
うーん、なんか読み間違えしてますかね…?まぁかなり強引な読みですけれど、そう読めなくもないかなと。 そう思うと、「白いサテンのリボン」の最後の皺のあるお婆さんになった波子のカットと何か通じるような気がするんですよね。

まぁ本当に死んだのなら、自殺の可能性が八割で、 他殺というか、美名子の手、が二割って感じかなと思いましたが。 「ずっとここにいるわ」というのは、”(自ら命を絶って)永遠にここに魂を置いていくわ”、という意味かなと僕も思う事は思うのですが。 ただ、”大人になってもずっと””バツを共有しよう”というような事を言っているので、 アリスは多分”生き続けていく事こそが真に辛い事なのだ”と理解しているのではないでしょうか。 僕のアリスの印象は、そんな子でした。

本当に死んだとしたなら、どちらでも解釈出来るようにはなっていますけれども、 本当は死んでいない!説がこれ程少ないとは思いませんでした(笑) 作者の他の作品をもっと色々と読むと違うのかもしれませんね。

まぁ明らかに間違っていたらコメントを下さい。 恥ずかしいので修正かなにかするかもしれません(笑)
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[ 2010/12/12 12:06 ] Comics | TB(0) | CM(0)

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