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中野雄 - 指揮者の役割 ヨーロッパ三大オーケストラ物語 (2011)

著者:中野雄(Nakano Takeshi)
タイトル:指揮者の役割 ヨーロッパ三大オーケストラ物語
発行:2011(新潮選書)


指揮者とはどういう人達だろう。
クラシック音楽をふだんあまり聞かない人であっても一度くらいは思ったことがあるだろう。大げさな身振りと表情がカリカチュアの対象になっていたことは本書でも触れられているが、実際のところ指揮者は何をやっているのかどういう事を考えているのか周囲(オーケストラ団員)からどう思われているのか、それを理解するには中々の良書だと思った。

本書では、指揮者や音楽家の具体的な技術にはあまり触れられていない。つまり指揮者がこういう動きをしたらオーケストラはそこからどういう意味を読み取るのか、というような話はほとんどない。むしろ百人を超えるメンバーを束ねる指揮者とはどういう人物であるのか、オーケストラの団員は、それぞれの指揮者に対してどういう感情を抱いているのかということを、実際の発言やインタビューをもとに、時にはオフレコのネタも挟みながら、うまくまとめている。同時にコンサートマスターや、楽団の運営という点にも踏み込むので、書名通りの”指揮者の役割”のみならず、オーケストラが一般に集団としてどう動いているかを理解することも出来るのではないか。

著者は、ケンウッドなどで音楽プロデューサーを務めていたが、その前には、銀行勤務などでヨーロッパに滞在した経験を持ち、60年代のヨーロッパの生のオーケストラを実際に体験している。多くの日本人がもはや知り得ない巨匠の生の演奏を語る言葉は貴重。

以下追記↓。
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[ 2016/06/22 00:30 ] Books/音楽 | TB(0) | CM(0)

真嶋雄大 - ピアニストの系譜 (2011)

著者:真嶋雄大(majima yudai)
タイトル:ピアニストの系譜
発行:2011(音楽乃友社)

この本はピアニストの系譜、つまり誰がどの教師に教わり、どのような影響のもとにあるかを書いている。
特に現代においては、生まれた国や国籍によってピアニズムを分析する事の重要性は相対的に低下しているだろうが、ピアノ演奏の歴史を解いていくためのみならず、現代においても演奏解釈のため、伝説的音楽家たちの歩みを包括的に把握しておくのは決して無駄ではない。

まえがきで著者もこのように書いている。
「一人の学習者が何十人もの流派の異なる先達からメソッドや演奏法を享受することが可能になったのである。だからこそ、系譜としての血脈に疑問が投げかけられるのだが、それでも強い絆で結ばれた師弟関係に、そのDNAが強く作用するのは自明の理である」

ただこういった芸術の領域で体系を絶対のものとするのはまず不可能なので、この本は今まで知らなかったピアニストを個人的に発掘して興味を持つために読むのが良い。ある程度、ピアニストの歴史を把握している人は、そこに新しい人間関係を描いたり、新たな情報を得ると思う。

資料としては大変有用ではあるが、ただし、こういった本は出てくる人がとにかく多いだけに読み通すのは少し困難。少なくとも、(個々人がそれをどの程度信じているかは別として、一般論の)ドイツっぽい演奏だとか、ロシアン・ピアニズム等々、とりあえずイメージがあると良いかもしれない。出来ればリヒテルとか、コルトー、バックハウスといった世代の演奏も知っていると更に良い。
[ 2015/06/17 00:00 ] Books/音楽 | TB(0) | CM(0)

Charles Rosen - Piano Notes : The World of the Pianist (2002)

チャールズ・ローゼン著「ピアノ・ノート

「ピアノ・ノート」というエッセイが面白かった。
1,2年前の新刊レビュー以来、ずっと気になっていました。
著者はアメリカのプロのピアニスト、Charles Rosen。
日本では余り知られていない人だ。
フランス文学の博士号を持ち、週三日は大学で文学を教えていたインテリ変わり種。
物書きとしての実力も確かです(むしろそっちの方が有名らしいですが…)。

ピアノに関する事は、音楽史から、ピアノという楽器そのものの利点欠点、
"定番の"コンクールと音楽学校、演奏スタイルの話、
細かな豆知識、かなり幅広く取り上げられているけれど、
最終的に音楽の感動とは何か、というところに達するし、
情報量自体はかなり多いけれど、
それをつめこむ偏屈なオタクっぽくなくて、
久々にいい音楽の本を読んだなぁと思った。
著者が平易な文体を心がけた、というだけあって、
翻訳者も(ジャズ)ピアニストのようで、
翻訳になっていても、語り口調の読みやすさがいい

どういう練習をしなさい、という本では無いので、
少しでもピアノに興味があれば、弾かない人でも楽しく読めるはず。
歴史を紐解き、ピアニストの謎解きをしているようで、面白い。
サイード(!)がコメントを寄せていて
(もう亡くなっていますけれど、別の本に対して)、
著者の物書きとしての力量を認めています。元々交流があったようです。


(アマチュアで)ピアノを弾く人は趣味が合うかは別として必読だと思えますし、
弾かない人も、音楽を生業にしている人が、
どういう風に音楽と付き合っているのかとか、
芸術について考えたくなるのではいかと思います。

ちょっと嬉しかったのは、僕の大好きなピアニストであるリパッティについて、
冒頭の話の起点として、いきなり出てきたところですかね(笑)
[ 2010/09/19 13:06 ] Books/音楽 | TB(0) | CM(0)







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